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2013.05.10 Friday
【記事】LowPass (WE NOD RECORDS x UNCANNY) : Interviewed by Yuya Mori

現在日本のヒップホップシーンで「新世代」という言葉をよく耳にする。この言葉は例えば、SIMI LAB、Fla$hBackS、THE OTOGIBANASHI'Sなどを語るときに使われたりするが、同じようにLowPassも「新世代」と位置づけられている。
デビュー・アルバム『Where are you going ?』の発売前にYouTubeに「Ruff」のミュージックビデオをアップし、発売後にはアルバムのインスト曲にラップを入れたフリーダウンロードアルバム『Interludes from "Where Are You GoinG?"』を発表するなど、ネットを自由自在に用いて活動の推進材としているという面から見ても新世代とカテゴライズされるのは自然であり、先述したSIMI LAB、Fla$hBackS、OTOGIBANASHI'Sなどがそうであるように、新世代と呼ばれるLowPassが生み出す作品もまた、格段に高いクオリティと際立ったオリジナリティを持っている。
LowPass の曲は、tee-rugが作る幅広く強度があるヒップホップ・ビートの上にGIVVNのラップが自在に乗り、聴く者がリリックを追いかけようとするとまるで仕掛けられていたかのように言葉が脳内でひょいひょいと飛び回り思考が置き去りにされ、身体が音楽に反応していく。このようなLowPassの魅力に呼応するように、最新作『Mirrorz』には、エンジニアとしてillicit tsuboiが参加し、マスタリングはUKの名門メトロポリス・スタジオで行われた。そして今回、無事制作を終え、リリースを控えたLowPassのふたりに、アルバム『Mirrorz』について、そしてLowPassというユニットについてインタビューを行った。
_1曲目「All Over」で「ミュージック鳴らしたいだけのLowPass君ならほんとは何が好き」という言葉がありますが、LowPassとして今回どのような音楽を作ろうと考えていましたか?
tee-rug(以下t): 特に完成形を意識して作ったわけでは無いですね。好きに作って出来上がったものをそのまま出そうって言う。
_では制作時期もそれぞれバラバラということですか?
t: そうですね。大体この一年くらいですね。
_『Mirrorz』というアルバムのタイトルの意味を教えてください。
GIVVN(以下G): 鏡です。出来上がったものを並べてみて「あ、Mirrorzだったら辻褄合うかな」っていうような後付けですね。結局好きで聞こうと思ったら良く聞こえるし、最初から「うーん」と思って聞いたらかっこ良く聞こえないと思うんです。聞いた人がどういう音楽が好きなのかとかで変わっちゃうと思うから。そういう所も鏡みたいだなって。
_今回のアルバム『Mirrorz』は前作『Where are you Going ?』から1年5ヶ月経てのリリースとなりますが、音楽制作や自分たちの周りの環境などに変化はありましたか?
t: 機材はビート作る上で変わったりしてます。ファースト作った時とセカンド作ってる時で聞いてる音楽も変わってきてるから作るビートにも変化があると思うし、もちろんリリックもそうだと思うんですけど。だからどこがどう変わったとは言えないですけど、インプットの部分では変わってますね。
G: うん。そうだね。
_お互いにインプットが変わったことで、お二人の間での制作過程に何か変化はありましたか?
G: 今回はtsuboiさんが間に入ってるんで、全然違うと言えば違う所で。いつもビートがある程度できたらリリック書くっていうように、ビートがいつも先に集まるっていう流れで。今回もそのスタイルは変わってないんですけど、tsuboiさんがいたことで曲を完成させていくやり方は前回とは違いました。
_tsuboiさんと一緒に作業される中で、tsuboiさんのサウンドの特徴はどのように感じましたか?
t: 出来たビートをtsuboiさんに投げて、それが帰ってきた時に想像してたのと全然違うのが帰ってきて。最初はすごい違和感があったり、やり過ぎなんじゃないですかっていうやり取りも結構あって(笑)。でも聞いていくうちにこれしっくり来るなって感じることが結構多くて、結果的に今回のアルバムも色的にまとまったなって思います。それがtsuboiさん節っていうか。
_tsuboiさんと作業されたことで、お二人の中で何か新しく見えてきたものはありますか?
G: 曲を作ったときに完成形みたいなものは今回無かったんですけど、ただやっていく中でお互いやりたいことはあって。そのズレとかも含めてLowPassは面白いと思ってるんですけど、そこでまたtsuboiさんがめちゃくちゃなことをしたり、思い切ったことをわざとすることでいろんなことを提示してくれて。設計図通りに進めるんじゃなくて、各々が「これどう?」ってぶつけてみながら作っていくんだけど、結果的にはタイトにまとめてくれました。
_マスタリングはどこで行われたのですか?
G: メトロポリスです。最初話していたときUKのベースミュージックの話になって、UK良いんじゃないかっていう流れの中でオファーしてみようってことになって。そしたらたまたま上手くいったのでやってもらうことになりました。
_トラックに関してお伺いします。前作より更に楽曲の幅を感じました。「SpinninG Wheel (Sotomawari)」ではシンプルなループが特徴的なヒップホップサウンドで、PUNPEEさんが参加された「Coulda' Woulda' Shoulda'」ではワンコードでエレクトロ色の強い楽曲で、「Peff Pt.2」では四打ちの打ち込みのサウンドが展開されていました。トラック一つ一つはどのような考えで作っていますか?
t: 最初から決めているテーマが無いので、そのときに買ってきたレコードとか、たまたま手元にあったレコードからサンプリングすることが多くて。今回幅が出たっていうのは聞いてる音楽に幅が出たってことですね。PUNPEE君とやった曲とかは、80'sエレクトロな感じのものだったりして。ソウルやファンクからのサンプリングだけにこだわらないで、どんどんいろんな音楽を取り入れるようにしてます。
_「Skip」や「A Prophet」の間奏ではギターリフのサンプリングが印象的でしたが、このようなサウンドは自分の中での流行ですか?
t: そうですね。「Skip」に関してはプログレロックとかそこらへんから影響受けてます。
G: ギター良いって思うようになったってこと? ギターってなんか難しいよね。すげーきわどいっていうか。
t: 下手したらダサくなるもんね。
G: そう。でも半年前ださいって思ってたギターが超かっこ良く聞こえることもあるし。
t: それはあるね。
_このトラックはアルバムに入れよう、という基準はどのように設定していますか?
t: 俺はビート作って、それをとりあえずGIVVNに投げるんです。そしたらこれは採用されないだろうなっていうのが採用されたりして。
G: 俺に送ってないやつは無いの?
t: あるある。
G: そこの線引きってどうなってんの?
t: それは…完成度(笑)?
G: そういうやつすげー聞きたいんだけど。絶対やばいやつあるよその中に。
t: これいい感じになりそうだなーって思いながら置いてあるビートもあるんです。でも置いちゃうと後からまた手を付けるのがおっくうになっちゃったりして。だからその場でぱっと作り上げて、これはもう送れるなっていうのが出来たら送るっていう感じですね。
G: で、俺がまた送られてきた中から選ぶっていう。
_送られてきたトラックの中からGIVVNさんが選ぶ際の基準はどこにありますか?
G: それどうやってんのかな。いつもiPodに入れて聞きながら適当にラップを口ずさんで、出来そうだなって思ったのがあればそれでいきます。例えば「Skip」とか、他の2、3曲は早い段階で作ってて、他に10曲くらいトラックあったんですけどある程度はラップとかサウンドの方向性が見えてこないとリリックが書けなくて。「ちょっとこれではアルバムになんないです」みたいな話をtee-rugとしたり(笑)。今年に入って全部アルバムに入れるトラックが出そろってからは、後はパズルみたいに「これは最後の方の曲だな」って感じではまりそうなやつを選びました。
_次はGIVVNさんのトラック制作についてもお伺いします。エレクトロファンクの様なアナログシンセの太い音が特徴的だと感じました。トラック作りのこだわりを教えてください。
G: 音にこだわってますね。印象深い音にしたいと思ってます。どういう曲を作りたいっていうよりも、印象を付けるために鳴り方だったり、細部に気を使ってます。
_印象といいますと?
G: ちゃんとした音で聞けば俺の作ってるビートは「印象的な鳴り」をしているって自分では思っていて。みんながあんまり出そうとしていない所で出してるかなと。
_引っかかり方、ということと近いですか?
G: それもありますね。みんなが聞いたこと無い音とかを出したいです。その上で乗れて踊れて、っていう風に出来たら良いなと思いながら作ってます。
_では、次はラップについてお伺いします。トラックをもらってからリリックを書き始めるということでしたが、普段からリリックを書き溜めたりということは行っていますか?
G: 結構忘れちゃったりするから、面白い言葉みたいに断片を書いたりはします。
_そこからまた拾い集めるということですね。
G: そうですね。サンプリングみたいに。
_前作と比べてライムやフロウがより自由になり改めてスキルの高さを感じたのですが、ご自身で何かラップに関して変化を感じていますか?昨年の8月にYouTubeにアップされた「Givvn(ex.Given) - One Day (In The City)(DEMO)」からも今作のラップに繋がる片鱗を感じました。
G: 前作は今聞くと本当に子供の遊びみたいな感じなんですよね。あの時はあの時なりに色々考えてたんだと思うけど。今回は出来上がりの形を考えていない分ラップ一個一個とか、言葉とか乗り方はすごく考えてます。色々わざとらしくやりました(笑)。誇張してる所もわざとだし、していない所もわざとだし。言葉一つ一つもわざと分かりにくい言葉にしたり。速いラップもちょっとやっとかないと、ぬるいラッパーだと思われたら嫌だなとか(笑)。
後はやっぱりtee-rugと一緒で聞いてる音楽の幅も増えてますね。ラップに影響を受けるときもあれば楽器に影響を受けることもあるし。例えばChris Dave Trioの動画をYouTubeで見まして。一人がずっとベースの同じループを弾いてる中Chris Daveとサックスの人がフリーでめちゃくちゃやりながらも音が完璧に合ってて。こういうのをラップで出来たら超かっこいいなとか思うんです。前作の時とは聞く音楽も変わってきたし、影響のされ方も変わりました。ラップに対してすごく考えてはいるけど、その分制約が取れてきたかなあって思います。もっともっと色々やりたいですけどね。
_リリックについてお伺いします。先ほど「聞き手に委ねる」というお話もありましたが、何かこれだけは言いたい、という様な内容はありますか?
G: それはやっぱりないですね。「伝えたいことはあんま無いよ」って話を結構してるかもしれません。言葉に意味を持たせようとかって俺はおこがましいなと思っていて。やっぱり聞く人で変わっちゃうし、俺にそんな力はないなとも思っているし。実際良かれと思って言ったことが相手を傷つけることもあるじゃないですか。俺はこの言葉をこういう風に使っているからこういう風に伝わってほしいっていうのは一切無いです。音楽だし、まず聞いていて気持ちいいっていうことが重要です。
_ジャケットや歌詞カードの文字が反転していて読みにくくなっているのも、そういった思いからですか?
G: 歌詞カードに関してはまず付けるか付けないかすごく悩んだんです。結構USとかのも付いてないじゃないですか。それでもやっぱりちょっと読んで欲しい部分もあって(笑)。 良いこと言ってる所もあるなーみたいな。でもやっぱり音としてアルバムを作ってるから、読みながら聞いて欲しくないんです。答え合わせみたいな感じで見てくれればって思いますね。
反転して見るっていうことに関しては、普段普通に見ている文字の送りってひっくり返すだけで相当気持ち悪いし全然読めないじゃないですか。そういうことって色々なレベルで結構起きてるのかなあって。『Mirrorz』っていうアルバムのまとまりを考えていく中で、あなたが自然だと思ってることは後ろから見たら全然違いますよっていう考え方が、後付けなんですけどかなりはまりました。あとは最悪鏡に映せば見れるので、『Mirrorz』ってアルバムを鏡使って見るっていう体験は面白いかなーと思いました。
この3つがあったので歌詞カードはああいう仕様になりました。あとはそれだけでは寂しいので、Hidaka君ていうやばい人がいるんですけどその人に絵を書いてもらいました。それがすごく良い感じなのでブックレットは結構気に入ってます。
_RIKI HIDAKAさんにジャケットや特典のTシャツのデザインをお願いする際は、このような考えを伝えた上で描いてもらったのですか?
G: 考えとかはそんなに伝えてなくて。元々Hidakaの絵が好きなんで遊びながらというか、遊びの延長みたいな感じで描いてもらいました。
_「Skip」の中で「ソウルごと雲の上にアップロード」というリリックがありましたが、あれはサウンドクラウドのことですよね?
G: そうですね。「ソウルごと雲の上にアップロード」っていうのは、どっちとも取れるんですよね。俺が皮肉ってるように聞こえる人もいるだろうし、どんどん使っていこうよっていうふうに聞こえる人もいるだろうし。俺自体は別にどっちでもなくて。楽しければ使いたいし、でも音楽は残したいからアナログレコードも作るっていう感じです。
_LowPassとしても「Ruff」のMVや『Interludes from "Where Are You GoinG?"』のフリーダウンロードといったように、上手くネットを駆使して活動されていますが、今作『Mirrorz』に関連して何か今後仕掛けようと思っていることはありますか?
G: アルバムとは関係ないんですけど、GIVVNのソロのフリー・アルバムみたいなのを出します。
_何故このタイミングでソロのフリーのアルバムを出そうと思ったのですか?
G: ソロの曲はいっぱい作ってるんですけど、一回も発表したことがなかったんです。18歳くらいから作り溜めてた曲がかなりあるんですけど、そろそろLowPassのアルバムの前に出さないと一生出る機会ないなと思って。客演もダースさんだったり、Ryohuだったり、YURIKAだったりって感じです。しっかりマスタリングもしたやつを出します。
_音楽をやる上でネットというものに対してはどのようにお考えでしょうか?
G: 特に考えはないですね。使えるから使うっていう感じです。まあでも思ったときに発表出来るから楽ですよね。
_では思ったときに発表したいという考えから<UQTZD(アンクオンタイズド)>というメディアを用意されているということなのでしょうか?
G: そうですね。あれはもっとホームページとかをしっかりしてレーベルにしようと思っています。色々と出したい人がいるので。RIKI HIDAKAもそうですし、あと俺たちの周りには面白いDJが多いんです。そのDJ達のミックスとかも紹介したいですね。
_アルバムの収録曲である「UQTZD Radio 03/01/13 Featuring Contrastiv」もそういった経緯で作られたのですか?
G: Contrastivのミックステープも<UQTZD>に上がったりしててすごくかっこいいんですけど、全然本人達にやる気がなくて(笑)。クルーってわけではないんですけどContrastivは俺らの音楽的兄弟みたいな感じなので今回一緒にやりました。
_では客演についてお伺いします。それぞれどのような経緯でオファーしたのでしょうか。まずは「Milkshake」で共演しているN.A.R.E.(QN)さんについてお聞かせください。
G: 俺が日本のラッパーで一番最初に仲良くなったのがN.A.R.E.で。「WALK MAN」が出てきた時とか、tee-rugと2人でYouTube見て「やべー、なんだろう」って。
t: 池袋でやってるイベントにゲストでN.A.R.E.が出てたんですけど、その時に俺らのデモ渡したんですよ。
G: 絶対聞かないだろうなって思ってたよね。
t: でもそしたらTwitter上で反応してくれて。それからですね。
G: そっから一緒にPV作ったりとかしていって、俺もカバーを作るくらいQNの曲が好きで。それで、今回アルバムを作るから一緒にやってもらおうって
いうのは自然な流れでした。
_次は「Spinning Wheel (Uchimawari)」で共演しているRyohuさんについてお聞かせください。
G: Ryohuは元々QNつながりの友達だったんです。それでRyohuのアルバムを手伝ったり、他のイベントで一緒になったり、一緒に音楽をやる機会が多いから自然と、っていう感じですね。Ryohuはフリースタイルラッパーなんで、リリックもがーっと書いてすぐ録りに来てくれて、RECも上手いんですよ。
_次は「Coulda' Woulda' Shoulda'」に参加されているPUNPEEさんについてお聞かせください。
G: もうずっと前から好きで、いつかやりたいっていう一つの夢があったんです。それでファースト出して、『Interludes from "Where Are You Going?"』出して、SIMI LABとかと遊んで、っていう中で何回か顔を合わせる機会があって。その中でだんだん俺が誰だかわかってきてるみたいだぞっていう感覚があって(笑)。 それで「絶対一緒にやりたいんです」っていうことを伝えてたんです。そしたらセカンド・アルバムっていうタイミングがきて、トラックもtee-rugからもらった瞬間に「これはPUNPEEとだろ」っていうビートだったからオファーしました。
_では「Nightfly」に参加しているシンガーのMaliyaさんについてお聞かせください。
G: 知り合いのプロデューサーから上手いシンガーがいるんだよねっていう話を聞いて、そのときに紹介してもらったのが最初です。でもその後にMaliyaからこの先どうしていけばいいのかわからないっていう相談を受けたんです。「じゃあとりあえず曲作ろう」っていう流れでオファーしました(笑)。彼女は同世代の中で一番歌が上手いと俺は思っていて、言葉の置き方とかリズムの取り方とかもすごく好きなんです。言葉の選び方にしてもラップ的なアプローチが出来るし、見た目もすごいかわいくて、意外といないタイプだなと。自分もメロディー考えたりすることもあるんですけど、tee-rugのビートって進行があるようでなかったりするので。
t: LowPassのビートって歌えないんですよ(笑)。
G: そこに対してMaliyaはいろんなメロディーを付けることができるんです。レコーディングに関してもリリックとかをすごく準備して来てくれていました。歌を何回も重ねていく時も、ばっちり毎回同じように歌えていたのでtsuboiさんが驚いてました。ラッパーって結構録音とか適当じゃないですか。もちろんこだわっている人はこだわってると思うんですけど。俺も割と考えている方だけど、それでも言葉の場所とか息の吸い方とか、もっとこだわってやらないとっていう様に逆に影響受けました。だから是非本人の作品も作って欲しいなって思ってます。HIP HOP好きな人とかLowPassとか好きな人に広まったら良いなとも思います。
_次はLowPassというユニットについてお伺いします。どのような出会いだったのですか?
G: 当時は自分でビート作って誰もいないクラブとかでラップしてたんですが、tee-rugと共通の友人がいて、やばいビート作ってるやつがいるよって話を聞いて。それで当時、Myspaceにtee-rugが上げてるビートが超かっこよくて。それで一緒にやりたいなってめっちゃ誘ったんですけど「あ、じゃあ今度…」みたいな反応をされて笑
t: もちろん嫌だったとかじゃないんですけどスイッチはいんなくて(笑)。そこから1年くらい経って2010年くらいにGIVVNのソロのライブを見たんですけど、そのライブに結構やられて。なんか一緒に作れたら面白いだろうなと思って声かけました。
G: 客は全然受けてないんだけどなぜかtee-rugだけロックしてみたいな笑
それで「やりましょう」って言ってきたので「だから言ったじゃん!」っていう(笑)。俺はもうMyspaceに上がってる曲に勝手にリリック書いてたからそれを録って、デモ作ってっていうのが2010年で、そこからがはじまりですね。
_ご自身でもトラックを作って活動されていた中でtee-rugさんと組んだ決め手はなんだったのでしょうか?
G: 俺が作れなさそうなビートを作っていて、かっこいいっていうのもあるし、1MC1DJがあんまりいないなと思ってて。
t: それがでかいよね。
G: 一人のラッパーに対して一人のビートメイカーが作るみたいな。
t: アルバム一枚聞いてても、いろんなプロデューサーがプロデュースするっていうのが多いと思ってて。それはそれで面白いんだけどこのMCだったらこのビートメイカーっていうのが少ないなって。
G: やっぱりGang StarrとかPete Rock & C.L. Smoothみたいなのが好きだったし。そもそも日本人でラップが乗るビートメイカーでこの人っていうのがあんまりいないよねっていう話をしてたんです。ビートがすごくかっこいい人、例えばBUNさんみたいな人はビートシーンに行っちゃうことが多くて。でもtee-rugのビートは男気の効いたワンループとかもあって絶対ラップが乗ったらかっこいいと思ったし、一人のMCに一人のビートメイカーでアルバムを作るっていうのは誰でも出来ることではなくなってきてるからやりたい、っていう考えはきっかけとしてありました。
_ではtee-rugさんから見たGIVVNさんのラップというのはどのように捉えていますか?
t: 自由自在っていうのが俺の中の感覚であります。フックで歌ってることが多いと思うんですけど、「こう乗せてくるんだ」みたいにびっくりすることも多くて。自分が渡したビートがそういう形で帰ってくるっていうのがすごく面白いですね。リリックに関しては言葉遊び的な部分もありつつ、すごい考えてるなっていうのも感じます。
G: やばいね。
_池袋knotで<INVASION>というイベントも行われていますが、これはどのようなイベントなのでしょうか。
G: DJ NOTOYAっていうDJが主催してるんですけど、俺と高校が一緒で昔一緒にラップやったりしてました。それでずっと一緒にやってる感じですね。池袋のbedの裏にあるちっちゃいバーみたいな所でやってます。次18回目だから3年くらい前かな?
_ちょうどLowPassを組まれた時期ということですか?
G: そうですね。おんなじくらいにイベントもはじめて。全然お客さんとか来てないんですけどね(笑)。でもDJが面白くて。みんな同世代で、HIP HOPとか全くかからない日とかもあったりして。良くないよね。
t: 終った後にかかるみたいなね(笑)。
G: CDJがちゃんとしたのがないから基本みんなアナログです。でもすげー面白いですよ。
t: 呼ぶゲストとかもHIP HOPだけじゃなくて四つ打ちのDJだったりとか。
G: NOTOYAも『Tokyo 1980s』っていうミックステープをサウンドクラウドにあげたりして、再生回数も9000回超えてて。Dam-Funkもすごい気に入ってるらしくて。「俺Dam-Funkとマイメンだから」みたいな(笑)。 NOTOYAがLA遊びに行ったときに覚えてくれていたらしいです。ミックスも面白いし、レコードディガーとしても面白い。
後はDJ Da’n’daっていう、LowPassのPVに毎回出てくる人がいて、今回だと警備員の役なんですけど、そいつは<BACK TO CHILL>に出てたり。彼は「普通の人生を送るには良い音楽を聴き過ぎた」っていう名言を残したりしてて(笑)。<INVASION>はそういう人達の集まりで、そんな奴らが誰もいないクラブで好き勝手音楽をかけるっていうイベントです。
_5月10日の<INVASION>では『Mirrorz』のリリースパーティーが行われますが、1DJ1MCとしてLowPassライブに対してどのように考えていますか?
G: 今まではぶっちゃけ適当で、ある程度作ったりはするんですけど練習とかはしてなくて。
t: セットリストを組むっていうことが全くなくて。出番の前に「今日はこういうノリだからこの曲やろう」みたいな。
G: クラブの雰囲気とかは見ないとわかんないから、曲ごとの展開とかビートを抜くとか、そういうのはあるんですけど。今回『Mirrorz』を作って曲も増えたし、セットリストも色々作ってやらなきゃ。難しいですね、ライブは。LowPassはライブで半端ない印象を残していけるっていうタイプではないから…。練習します(笑)。
_今後いろいろな所でライブするといった予定はありますか?
G: まわったりっていうのは特にないですね。前に福島に呼んでくれたstill君ていう人がいるんですけど。
t: <K.I.S.S>っていうイベントを福島のNEOでやってて。
G: そのstill君とかすごい良くて。DJもかっこいいし。東京にいたらいいのにとか思うんですけど。でもまた呼んでくれて、そこにはFullmemberと一緒に行きます。後は都内でのライブは全然あります。
_お二人は東京という街に対してどのような印象を持っていますか?
t: 今回のアルバムは絶対に東京の環境じゃないと出来なかったアルバムだと思ってます。あとは海外とかからもアーティストが頻繁に来るし、そういう意味で刺激的な場所だと思ってます。遊び場も多いですし。
G: 俺は東京生まれなんですけど、いつも上京してみたかったって思ってて。どうなの?その感じは。
t: 楽しいですよ(笑)。レコ屋が多いですし。もちろん行ったことないレコ屋もあるし、行ったことないクラブもいっぱいあるし。
G: 音楽をする上でのやりやすさはあると思いますね。みんないるし。でも俺は東京生まれで東京育ちなんで、色々東京に対していつも愛憎があったりするんですよ。それが18歳くらいまで他の所に住んでて、そっから東京にきたらどう見えるんだろうっていうのは思います。
_次にPVについてお伺いします。GIVVNさんがPVを撮り始めたきっかけを教えてください。
G: 一番最初はQNが「WALK MAN」とかのPVを撮ってたからそれですげーなって思って。で、最初のデモとかのPVを撮ってもらったりした中でこんな感じか、っていうのを掴んだんです。
_最初から映像に興味があって機材を揃えて、ということではなかったということですね?
G: そうですね。自分たちでやっていくしかなかったから。それで何回か撮ってるうちにQNが元々やってた<DEADMAN FILMS>で一緒にやったら面白いんじゃないかっていう風になって。Hidakaとか絵も上手いし。
_ではPV以外に何か作品を作るということは今考えていますか?
G: 考えてますね。それは全く音楽とは関係ないです。
_音楽を作るということと、映像を撮るこということに関して自分の中でどのような違いがありますか?
G: 似てる所もあるけどやっぱり違いますね。これは映像で表現して、これは音楽で表現して、みたいなのはないんですけど、音楽はやっぱり映像がないんで、映像と比べると抽象的じゃないですか。人が走っている姿とかは音楽で表すより、走っている姿撮った方が良いと思うし。でもその線引きはすごく難しいですね。サンプリングみたいなんですよ。撮った映像を切って貼ってみたいな。だからその感覚は似てるかもしれないですね。
_最後の質問になります。今後LowPassとしてどのような活動をしていくのかということをお聞かせください。
G: LowPassは今の段階では割と一通りのことはやったかなって思ってます。ライブはもちろんやっていきますけど、2人で今すぐなんか新しいものを作っていくっていくことにはならないですね。多分それぞれで色々やって、またタイミングが合えばっていう感じですね。「LowPassとしてなにか企んでます」っていうことはないですね。
_それぞれ行おうとしていることがあるということですね。
t そうですね。今は具体的なことは言えないんですけど。
取材: 森優也 (http://uncannyzine.com/)
1991年生まれ、埼玉県草加市出身。UNCANNY編集部員。POPGROUP所属のESMEを実兄に持つ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。
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