2013.03.19 Tuesday

【記事】DyyPRIDE (WE NOD RECORDS x UNCANNY) : Interviewed by Yuya Mori (2013.2.27)

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    現在、名実共に日本のインディ・ヒップホップ・シーンの中で最もその動向が注目されるグループのひとつ、SIMI LAB。彼らは、ここ2〜3年、2011年の年末にリリースされたファースト・アルバム『Page1: ANATOMY OF INSANE』をはじめ、各メンバーのソロ作や客演など、刺激的な作品を発表し続けている。3月8日、SIMI LABのメンバーのひとりであるDyyPRIDEが自身2作目となる待望のソロ・アルバム『Ride So Dyyp』を<SUMMIT>よりリリースした。このアルバムは、氏の密度の濃いエネルギーとメッセージが詰まった渾身のヒップホップ・アルバムだ。今回のアルバムについて、また、自身の活動についてインタビューを行った。


    ―今回のアルバム『Ride So Dyyp』のテーマとなったものは何でしょうか?

    DyyPRIDE(以下D): テーマは、前回も今回も何かを作ろうと思って作ったというよりも、すでに自分の心の中にあるものを形にしたって言う感じです。タイトルの意味を説明すると、自分の魂が自分自身をライドしてるような、自分自身を深く乗りこなすっていう。ちゃらんぽらんに車でもバイクでも乗るんじゃなくて、「ものすごく真剣に乗る」っていう意味があります。

    ―前作のテーマを更に深く掘り下げたということでしょうか?

    D: 掘り下げたって言うよりも前作はまだ走り出してなくて、ただぐずぐずしてたんですよ、ちょっと暗いとこで。そこからそういう部分を取り出して、走り出したっていう感じですね。

    ―今回のアルバムの制作時期はいつ頃でしょうか?

    D: 一昨年の最後の方にSIMI LABのアルバムを出して、それが終ったぐらいからリリックを書き始めてましたね。

    ―トラックよりもリリックが先ということでしょうか?

    D: そういう曲がほとんどですね。

    ―プロデューサーとしてMUJO 情さん、Juelzさん、Earth No MadさんやUSOWAさんなど多く参加していますが、ご自身で指名されたのですか?

    D: MUJOのトラックは(SUMMITの)増田さんに教えてもらって。後は誰のトラックっていうよりも気に入ったのをチョイスした感じですね。

    ―MUJO 情さんが創るトラックは8bitのレトロゲームの様な音色に加えて強烈なノイズが入っていて、とてもざらざらした不安な感覚を受けました。そこに、DyyPRIDEさんのラップが乗ることで何かざらざら荒れていたものに水が染みていく様な不思議な安心感を感じるのですが、ご自身の声質、またはラップのリズムやメロディをトラックに乗せることについて特に意識している事はありますか?

    D: どうなんだろう、多分特に無いですね。元々リリックが先にあっちゃうのが多いんで。リリックがあって、何十曲かトラックを聴かせてもらった中で自分のリリックがどのトラックに合うか当てはめていくような感じです。リリックが出来た時点で少し何となくイメージがあって、それと合うようなトラックを選んでます。

    ―また、今回HOOLIGANZのTAKUMA THE GREATさんも参加されていますが、この出会いのきっかけについて教えてください。

    D: それはですね、自分7コ年上の兄貴がいるんですけどその兄貴が横浜の元町でDJをやってたんです。自分が中学生くらいの頃その元町のイベントでTAKUMAがラップしてたんですよ。そのとき知り合ってから当分音沙汰がなかったんですけどSIMI LABのMA1LLっていう絵を描いてる女の子がいて、彼女の友達だったんです。
     
    ―今回プロデュースで参加しているトラックメイカーのjuelzさんもTAKUMAさんとのつながりですか?

    D: そうですね、彼の音源を聴いて、そのトラックかっこいいねって紹介してもらった感じです。

    ―今回のアルバムではご自身でプロデュースされた楽曲がいくつかありますがトラック制作のこだわりとかはありますか?

    D: ほとんどトラック作りとかやったことがないんで、こだわりもまだ無いですね。何曲か作ったんですけどそのうちの多分3分の2くらいはアルバムに使ってるんですよ。いっぱい作ってその中から選んだというよりも、作ったものをそのまま使っちゃってるっていう感じです。

    ―制作時に使っている機材を教えてください。

    D: GarageBandとMPC1000です。あと「Lost」っていう曲ではDJ HI'SPECがドラムを叩いてくれて、俺が彼のアナログシンセでメロディの部分を弾きました。それ以外はガレージバンドとMPC1000を使ってループを作った感じです。

    ―5曲目の「極東のと或る監獄にて」、6曲目の「煌めいた監獄」は、OMSBさんのアルバム『Mr. "All Bad" Jordan』に収録されている「Fuck That Fake Policia feat. DyyPRIDE」の続きになっていました。今後もこのシリーズは続くのでしょうか?

    D: いや、そういうつもりは無かったですね(笑)

    ―あの曲はどういう経緯で生まれたのでしょうか?

    D:「極東のと或る監獄にて」スキットで、次の「煌めいた監獄」っていう曲での監獄っていうのが日本の社会のことで、そこはもう外なんだけど監獄の中と精神的に変わらないっていう話なんです。で、オムス(OMSB)に声かけてその曲をやったんですけどそしたら前回オムスのアルバムでスキットで参加させて貰ったのとたまたま話があっちゃったんで、じゃあもうビートも使ってリンクさせちゃおうみたいな。

    ―ここからは詩についてお伺いします。「Pain」や「死闘」、「We Can't Move Back」では、説教臭くなく「人生結局やるしかない、行動していくしか無い」というメッセージと共にDyyPRIDEさんの何か強い意志のようなものが伝わってきました。この根源はどこからくるのでしょうか?

    D: 多分元々完璧主義者というか、何かを極めたいとか、すごく強く生きていきたいっていう気持ちが小さい時からすごく強かったんですよ。だけど現実はその正反対で。どうせ生きてたってしょうがないなとか思う様な、うじうじ悩むような日々がずーっとあって。そのギャップが半端じゃなくて。それに本当にくらってたんですよ。だけどものすごく精神的に悪くなったときに自分のイメージしてるものがものすごく具現化していくっていうか、悪く考えてることは実際全部どんどん悪くなっていくし、そういう威力がものすごく大きくなってくのが見えたんですよね。実際目には見えないですけど。で実際に悪いこともいっぱい起こってどんどん悪くなっていったんです。

    でもそしたらこれを良くすることも可能だなと。良くするように努力すればいいわけで。でも最初はものすごくキツかったです。今までは悪い方向に落ち着いちゃってたから。どうせ俺なんてって思うのは楽だけど、良い方向に思うように努力して、実際にそう思えば良くなるんだっていうことを信じてやれば、絶対良くなるなって感じたんです。

    そして自分がそんな経験をしてるからこそ、死にたいなと思うほど病んでる人とか、くじけちゃってる人って大勢いると思うんですけど、そういう人達に悪いことばっか考えるんじゃなくてそっからぶりかえしてくれよって、俺の後に続いてくれよっていう気持ちですね。

    ―「All Your Mind」での「この世界がどう輝いて見えるか 全部てめえの価値観次第さ」という言葉にとても力を感じました。このように物事をポジティブに変換していく為にどう気持ちをコントロールしていますか?

    D: 自分を信じるだけですね。それが口で言うのは簡単なんだけど実際にやるのはすごく難しいじゃないですか。それをとことんやっていくだけですね。自分は絶対できるっていう。毎日そう思って努力するっていうことですね。
     
    ―「Pain」、「Lost」それぞれに「陰陽矢の如く」という言葉がでてきたと思うのですが、この言葉はどういう意味ですか?

    「光陰矢の如し」を勝手にちょっと変えてみました。「人生一瞬だよ」っていうことですね。

    ―「My Machine」ではご自身のバイクがテーマであり、「Ride So Dyyp」でモーターサイクルと人生を重ねあわせたリリックとなっていますがバイクにはどのような思い入れがありますか?

    俺は車とかバイクとかがすごい好きなんです。恐らく、さっきも言った様な自分の魂が自分の身体に乗って操作してるっていう、自分の身体そのものが機械みたいな感覚がものすごく強いんですよ。で、それをもう一段階超えてやってるみたいな。魂があって、俺の身体があって、更に車とかバイクがあるっていうのがすごい面白いんですよねきっと。それで乗り物が好きなんだと思うんです。あと、鉄の固まりが好きで。鉄のかたまりにまたがってそれが道を滑っていくっていうことがすごい異常なことだなって(笑)。

    ―ちなみにバイクはなんという車種に乗っていますか?

    D: Harley-Davidsonです。

    ―いつ頃購入されたのですか?

    D: 一年くらい前ですね。あのモデルが70年代に流行ったスタイルで、新しいハーレーでは見ない様な形なんで一発で買っちゃおうと思って。お店に行って跨がったらもう「これじゃん!」ってなって。それから教習所行って大型とって現場仕事にいそしんで、免許と頭金ゲットして無理矢理買いました(笑)。

    ―「Made in 信念」で言われている、DyyPRIDEさんの信念はどのようなものですか?

    D: 最後まで諦めずに生きていくっていうことだと思いますね。すごいシンプルなんですけど。


    ―アルバムのジャケットが印象深いのですが、どなたが手掛けたのでしょうか?

    D: ジャケットはですね、前からあったイメージをGivvnに伝えて、撮ってもらい。その写真をマイルに製作してもらいました。





    ―ではPVについてお伺いします。以前から映画監督もやってみたいという発言をされていましたが、今回のPVに関してGivvnさんに伝えた要望などはありますか?

    D: この間撮った「Pain」っていう曲以外にもう一曲「Ride So Dyyp」でPVを撮るんですけど、そっちの方は自分がこういうイメージを持っているということを伝えました。「Pain」の方は特に要望はしてないですね。彼も映画がすごい好きで、今後も映画を撮っていきたい人なんでこっちからはあんま口出しせずに「こういう風にやって」って言われるままやったような感じです。

    ―普段から映画は良く見られますか?

    D: 見ますね。

    ―映画のどういった所に興味を引かれるのでしょうか?

    D: これももしかしたら車とかバイクが好きな理由に近いのかもしれないんですけど、俺にとっては自分から見えている世界が映画みたいなものなんです。一歩後ろから見ている自分がいるというか。それの延長っていう感じですね。俺にとって第三者の目線で映像を見るっていうことが自然なことなんです。自分の目線の方に親近感がわかなくて。人が撮った映像が自分のイメージに近いというよりも、自分の見ている映像が自分から遠いっていう意識があります。

    ―具体的にどのような映画が好きですか?

    D: 映画は見過ぎちゃっててわけわかんなくなっちゃってる所もあるんですけど、ざっくり言うと好きな監督がクエンティン・タランティーノと北野武とデビッド・クローネンバーグとアレハンドロ・ホドルフスキーの『エル・トポ』が好きです。

    ―アレハンドロ・ホドルフスキー監督の作品はどのような所が好きなのでしょうか?

    D: アレハンドロ・ホドルフスキーの映画を一目見たらめちゃくちゃ薬っぽいんですよ。だけどフタあけてみたらナチュラルなんですよね。その監督自体カフェインすら採らないんですよ。そういうドラッグを全くやらない人で。だから脳内麻薬の分泌料が半端じゃないっていうことで、普通なのが一番狂ってるっていうのがわかるっていうか(笑)。

    ―ご自身での映像制作などに向けて何か動き出していることはありますか?

    D: 今は特にないんですけど、どっちかっていうと先に小説を書こうかなって思ってますね。毎日いろんなことをノートにメモするんですけどそれがラップになるときもあればラップにもしないで置いてあるままのもいっぱいあるので。そういうのをまとめたいなと思ってます。

    ―そのように自分で書いたメモを見返すときはどんな感覚を受けますか?

    D: 俺ラップでもそうなんですけど、録音して一週間後とかに聴き直すと自分のを聴いてるっていう感覚がないんですよ。ある瞬間にいたDyyPRIDEってやつがやったラップでもう自分じゃない。今の瞬間とその時の瞬間はもう違うもので、今の瞬間にはその時の自分はいないわけじゃないですか。

    例えば一年前にやった失敗とか。一年前は良いと思ってやったけど今は別に良いと思わない様なことっていっぱいありますよね。そん時の自分と今の自分が全く同じ人だったら多分そういう風に思うこともないと思うんですよ。違う人間だからこそそう思うんじゃないかなって。

    ―日々変わっているという実感がある、ということでしょうか?

    D: 俺に関していえば、根本的な部分て言うのは中学生ぐらいの時から変わらないんですよ。ただ、実際は病んでる時期もあれば今みたいにだんだん良くなってきている時期もあって。そういう時期による違いはありますけど心の中に思い描いているこうなりたいとか、こういう風に生きていきたいっていう気持ちは基本的に変わらないですね。

    ―では中学時代にどのようなことを考えていたのでしょうか?

    D: ボランティアとか人のためになる仕事がしたいって思ってましたね。

    ―それは今も変わらないですか?

    D: 変わらないですね。

    ―その思いに対して今行っていることが、ラップで人を鼓舞するということに繋がっていくのでしょうか?

    D: ラップは今まだ全然なんも出来てなくて。ラップじゃなくても何でも良いんですけどとにかく何かでお金を稼いで人のために役立てたいなっていう感じです。
     
    ―多様な人達が一つに集まれる接着点の様なものは、SIMI LABではどのようなものになるのでしょうか。

    D: みんな優しいっていうか、すごいわがままな所もあるんだけど、情けがあるんですよ、みんな。悪いやつがいないっていうか。そういうところで繋がってて、もしそこが違ってたら一緒にいれないと思うんですけど、みんなに対して良いなって思う所が、魅力がありますね。

    ―休日は何をされていますか?

    D: ほんと時間が足りないんですけど、映画見るのとジョギングするのと、本読むのと、あと常に頭に浮かんだことをメモに書いたりしないと普通でいられなくなっちゃうんですよ。だからそれは毎日欠かせないんです。

    ―それはルーティーンというより、やらなきゃどうしようもなくなるという感覚ですか?

    D: そうですね。脳みそがあって、そこにどんどん言葉が蓄積されていって、普通だったらきっと必要ないこととか消えてくと思うんですよ。だけどそういう処理がなされないまま、メモとかにするまでひたすら脳が浮かんだ言葉を言っちゃってるっていう感覚があって。例えば「このお茶がおいしい」って脳みそが思ったらこの「お茶はおいしいんだ」って排出してあげないとパンパンになっていっちゃうんですよね。

    ―4月5日には恵比寿リキッドロフトにてOMSBさんとWリリースパーティーなどが控えていますが、ライブはどのように意識されていますか?

    D: お客さん達の意識に言葉を叩きつけたいですね。

    ―最後の質問になりますが、今回のアルバムのリリース後、DyyPRIDEとしてどのように進んでいきたいとお考えでしょうか?

    D: SIMI LABのアルバムももちろんそうなんですけどそれが終った後には文章をまとめたいですね。あとは逃げたくなる様なことが生きていていっぱいあるんですけど、そういうことから逃げずに、もし楽なこととか生きていて全くないとしても、最後まで諦めずに淡々と生きていきたいと思いますね。


    取材: 森優也
    1991年生まれ、埼玉県草加市出身。UNCANNY編集部員。POPGROUP所属のESMEを実兄に持つ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。
    UNCANNY (http://uncanny.jp/)


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